2022年8月15日
日本 Noboru国際法務行政書士事務所 代表行政書士
台湾 日升国際法律事務所 代表台湾弁護士(日本では未登録)
黄駿升
台湾の企業合併法の法改正は、今年2022年5月24日に台湾国会の立法院で成立し、さらに6月15日に総統により公布され、公布の6ヶ月後の2022年12月15日に施行されます。
今回の法改正の趣旨としては、(1)株主のへ権利保護の強化、(2)非対称性合併(簡易合併手続き)の適用範囲の拡大、(3)税制上の優遇措置の拡大などがあります。以下でご紹介いたします。
(1)株主のへ権利保護の強化
・合併について取締役が利害関係を有する場合、株主総会の招集通知において、取締役の利害関係の主な内容、及び、合併に賛成或いは反対する理由を記載する必要があります。
・株式買取請求権の適用範囲は、株主総会で議決権行使の際に、棄権せず反対の投票をした株主まで拡大されることにより、反対株主の権利を保護します。
(2)非対称性合併の適用範囲の拡大
非対称性合併とは、株主総会決議を必要とせず、取締役会の決議の手続きのみに基づいて、大企業が中小企業を合併できる制度です。
今回の法改正で、上記手続きを適用するための要件として、「存続会社が支給する株式は、発行済株式の20%を超えないこと」又は「存続会社が支給する株式や現金、その他の資産の対価総額は、存続会社の全資産価値の20%を超えないこと」とします。
(3)税制上の優遇措置の拡大
・合併されたスタートアップ企業の個人株主が取得する株式の対価は、その全てについて課税の延期を選択することが可能となります。
・今回の法改正では、識別可能な無形資産の種類が明記され、さらに、合併により生じた無形資産について、法定耐用年数或いは10年を償却の計算基準とすることが可能となります。
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