2023年5月25日
日本 Noboru国際法務行政書士事務所 代表行政書士
台湾 日升国際法律事務所 代表台湾弁護士(日本では未登録)
黄 駿升
台湾の商標法改正案は、2023年5月9日に、台湾の国会である立法院で可決されました。その施行日は未定です。今回商標法の法改正のポイントは、以下となります。
(1)早期審査制度の導入
商標登録出願の際に、早期に商標権を取得する必要がある場合、その事実と理由を示し、早期審査手数料を納付した後、早期審査を求めることができます。
(第19条、第94条、第104条)
(2)商標代理人管理制度の新設
商標登録出願の代理業務について現状では、その主体の資格に特に制限がなく、國內に住所があれば誰でも商標代理業務を行えます。
法改正では、商標代理業務ができるのは、弁護士や会計士等専門職業の人員のほかに、これを登録済みの商標代理人に限定されます。
また、登録済みの商標代理人になるために、商標の専門能力の資格試験に合格するか、一定期間の商標実務経験が必要です。
(第6条、第12条)
(3)商標登録出願主体の拡大
現状では、商標出願の主体は、自然人と法人に限られていますが、商業活動における実際の使用ニーズに鑑み、これを下記に拡大されます。
・組合の組織(弁護士や建築士事務所など)
・法律に基づく設立された法人格なき団体(お寺や協会団体など)
・商業登記法に基づく登記済みの個人事業と組合事業
(第19条第3項、第99条)
(4)商標の合理的使用の態様の追加
商標の「合理的使用(フェアユース)」には、いわゆる「記述的フェアユース(Descriptive fair use)」と「指示的フェアユース(Nominative fair use)」の2つの態様があります。
前者は、自身の商品やサービスを説明するための使用であって、商品やサービスの出所を示すために他人の商標を使用する「商標的使用」ではありません。
後者は、他人(商標権者)の商品やサービスを示すために他人の商標を使用することであり、自分の商標としての使用ではありません。例えば、携帯電話修理のサービスを提供する店舗が、その店舗の看板に各携帯メーカーの商標ロゴを掲載することです。
上述したように両者は商標の「合理的使用」における異なる態様であり、より明確にするために今回の法改正により、「指示的フェアユース(Nominative fair use)」の規定が追加明記されました。
(第36条)
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